血糖
1.何がわかるか-----基礎知識
- 血液中のブドウ糖は、体のエネルギー源なので、空腹時および食後の値は60〜160mg/dlの範囲に保たれるよう調節されています。調節は主にホルモンによって行われ、食事によって血中のブドウ糖が高くなると膵臓からインスリンが分泌され、細胞へブドウ糖を取り込ませ、血糖を下げます。空腹時などで低くなるとグルカゴンが同じく膵臓から分泌され、肝臓などに貯めたブドウ糖を血液中に放出させます。
- インスリンの分泌が悪くなると血糖は高くなり、糖尿病となります。また、分泌が異常に多くなると血糖は低くなり、低血糖となります。
- 糖尿病には、インスリンを分泌する膵臓のベータ細胞がウイルス感染などによって破壊される若年性のインスリン依存型糖尿病と、遺伝的因子に過栄養・運動不足・肥満等が加わって起こる成人型のインスリン非依存型糖尿病があります。通常見られる糖尿病は後者です。
- 糖尿病では、臓器の細胞の糖代謝が悪くなり、やがて種々の合併症が出現します。とくに成人型糖尿病では、初期にはほとんど症状がなく、眼底出血、腎障害、網膜症、神経障害などを起こして気付くこともあります。
- 合併症には、血管障害(眼底出血、狭心症、腎障害など)、感染症、代謝異常(多尿、脱水、ケトーシス、高脂血症など)、神経障害(しびれ、自立神経障害、脳卒中など)、白内障、皮膚炎などがあります。
- 家系に糖尿病のある人は、とくに糖尿病の発生率が高くなりますので、定期的な検査と日常生活での予防が重要です。
2.異常値-----疑われる病気や異常
- 高値の場合
- 糖尿病
- 急性すい炎、すい臓癌
- 肝硬変、慢性肝炎
- Cushing症候群
- 甲状腺機能亢進症
- 低値の場合
- 高インスリン血症
- 脂肪肝
- 肝硬変・肝臓癌
- 悪性腫瘍
3.どうすればよいか-----日常生活上の注意
糖尿病
- 適切な代謝の改善で、自・他覚症状をとりのぞくと同時に
- やがて出現する合併症、とくに血管障害の発症や進展を予防することです。
一生、仲良くつき合っていくつもりで、日常生活を改善していってください。
- 糖尿病のコントロールは、血糖値、HbA1c、尿中の糖・アセトン体・蛋白、眼底検査などの検査を受けながら進めます。
- 糖尿病の治療の3本柱は、
- 食事療法
- 運動療法
- 薬物療法
です。重症の糖尿病以外では、境界型糖尿病も含めて、まず、食事・運動療法を行います。
- 摂取総カロリーの制限
- バランスのとれた食事
- 朝食もきちんととり、量も朝・昼・夕に適切に配分し、規則正しく定時間にとり、間食はしないようにすること、
- 無理なく実行出来るスケジュールを立てる。
まず、1日1,200〜1,600kcalとします。徐々に標準体重にします。アルコールは適量とし、1日の総カロリーに入れて計算します。
- 運動療法:まず医師の指導を受けてから行ってください。運動は、体重減少、カロリーの消費増大、インスリンの節約、動脈硬化などの合併症の予防に役立ちます。
- 生活療法:糖尿病では、皮膚などの感染症や傷の悪化、指の壊疽などを起こしやすくなります。清潔に心がけ、よく合った靴を履き、靴下や下着のゴムはゆるめにし、爪はていねいに切り深爪をしないようにし、湯たんぽや熱い風呂などには気を付ける、などの生活上の注意が必要です。たばこもやめましょう。
- 薬物療法:薬物療法が必要な人では、医師の正しい管理を受け、自己血糖測定や自己インスリン注射などの指導を正しく受けましょう。
低血糖
- 血糖値が60以下になると、空腹感、冷や汗、ショック様症状、ひどくなると意識障害を起こします。ブドウ糖をとるとすぐによくなります。
- 原因としては、何よりも血糖降下剤やインスリンの過剰が一番多く、それらを使用している人はアメなどを携帯すると安全です。また、意識の障害時に備え、「私は糖尿病です」というペンダントを下げることもすすめられています。その他に胃の手術後等やまれにインスリノーマ(腫瘍)によることもあります。
HbA1c(グリコヘモグロビン)
1.何がわかるか-----基礎知識
- 血糖が高い状態が続くと、ヘモグロビンなどの蛋白にブドウ糖が結合し、その割合が増加します。
- その値を測定すれば、過去4〜8週間の血糖の平均値を知ることができ、血糖がうまくコントールされているか判定できます。糖尿病の検査の一つとして行われます。
2.異常値-----疑われる病気や異常
3.どうすればよいか-----日常生活上の注意
- 血糖・尿糖の結果を合わせて判定します。
- 糖尿病の場合は、血糖の項に示した日常生活上の注意をまもってください。
尿酸(UA)
1.何がわかるか-----基礎知識
- 尿酸は、体や動物性食品の細胞の中の核にあるプリン体という物質がこわれてできるものです。尿酸が多く作られたり、尿からの排泄が少なくなると、血清中の尿酸が高くなります。
- 尿酸が高くなると、関節に沈着して炎症を起こし、痛風発作(通常、足の親指のつけねの関節に発赤と激痛)がみられ、また徐々に腎臓に沈着して腎障害を起こします。
2.異常値-----疑われる病気や異常
- 高値の場合
- 痛風
- 高血圧・心不全
- 腎炎・腎結石
- 妊娠中毒症
- 動脈硬化
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3.どうすればよいか-----日常生活上の注意
- 食事の注意:イワシ、ヒシコ、肝臓、腎臓、脳、肉エキスなどプリン体の多い蛋白質性の食品を避けてください。
- アルコールを減らす:アルコールは尿酸が尿へ出るのを妨げます。発作時には禁酒、その他の時もなるべく少なく(ビール1本以内)してください。
- 水分を多く取って、尿酸が尿へ出るようにします。また重曹などをのんで尿をアルカリ性にすると、尿へ出やすくなります。
- ストレスも大敵です。
- 肥満の人は体重を減らし、一方では過激な運動を続けないようにしてください。
- 著しく高い場合は、医師の管理のと服薬が必要となります。また、痛風発作の時は、特効薬を処方してもらいます。いずれも医師の管理下で日常生活に注意しながら、規則正しく薬を飲むことが大切です。
医師は、腎機能を調べ、定期的に尿酸を測定し、かつ他の成人病にも気を付けながら治療を進めます。