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腹部の検査

胃部X線検査

1.何がわかるか-----基礎知識

  • 食道、胃、十二指腸の病変を造影剤(バリウム)を飲んで写し出す方法です。
  • 最も大きな目的は胃がんの早期発見です。もちろん潰瘍、その他の病気の検査も目的としています。
  • 医師等が透視をしながら撮影する直接撮影と、集団検診を中心に用いられる間接撮影があります。
  • 直接撮影:X線テレビを見ながら、必要に応じて詳しく検査します。詳細はX線フィルムを読影して診断しますが、この検査で異常がみられれば、精密検査として、胃ファイバースコープ検査(胃カメラ)を行い、必要により組織の一部をとって、生検して診断を確定します。
  • 間接撮影:撮影方法は実施機関によりやや異なりますが、バリウムを飲んで、胃のすべての壁が写るように、一定の体位をとりながら7〜8枚撮影して、あとでフィルムを読影します。胃のすべてが観察されない例や、少しでも疑いのある例を、精密検査を必要とすると判定しますので、要精密検査の率は、5〜20%になります。精密検査は直接撮影か、胃ファイバースコープ検査を行います。
    実際に胃がん検診で、胃がんが発見される率は、1000人に1人くらいです。したがって、要精検者からの胃がんの発見率は100人に1人ぐらいとなりますが、多くの場合、早期発見で命は助かります。
  • X線写真上での胃の部位の名称は、下図のとおりです。また、胃の壁には前壁と後壁があります。


2.異常値-----疑われる病気や異常

  • 食道、胃、十二指腸の炎症、潰瘍、がん、ポリープなど


3.どうすればよいか-----日常生活上の注意

  • 精密検査の指示があったときは、必ず専門医などの精密検査を受けて下さい。実際にがんなどであることは少ないこと、早期に発見すればほとんどの人は助かることを念頭に置いてください。
  • 最も確実な精密検査は、胃ファイバースコープと同時に行う生検です。おそれずに受けましょう。
  • 異常の疑いのあった人は、できれば年2回の検査を受けてください。
  • 必要により指示どおり、薬を服用してください。潰瘍や胃炎の薬物療法は長期にわたる事が多く、途中で勝手に中止しないようにし、定期的に医師の診察を受けましょう。
  • いずれにしても、暴飲暴食は避けるべきです。腹八分目が胃のため、自分のためです。


腹部超音波検査(エコー検査)

1.何がわかるか-----基礎知識

  • 体に超音波をあて、内臓の表面や密度の異なるところからの反射を記録して、外から内部の状態を目で見えるようにした検査法です。放射線と異なって体に悪影響はなく、簡単に行えるので、健診や人間ドックで採用するところが多くなってきました。
  • 腹部の超音波検査は、胆のう、肝臓、膵臓、腎臓などを検査し、胆石、胆のうポリープ、がん、肝の腫瘍などを発見するものです。


2.異常-----疑われる病気や異常

  • 肝臓の異常:脂肪肝、肝のう胞、肝硬変、肝がん
  • 胆のうの異常:胆石、胆のうポリープ、胆のう炎、胆のうがん
  • 膵臓の異常:膵炎、膵がん
  • 腎臓の異常:腎結石、腎のう胞、腎臓がん


3.どうすればよいか-----日常生活上の注意

  • 速やかに、医師に受診し、指示にしたがいましょう。


便潜血反応(免疫法)

1.何がわかるか-----基礎知識

  • 食道から肛門までの間の出血の有無を調べる方法です。
  • 便の潜血反応が陽性となる病気には、次のものがあります。
  1. 食道:静脈瘤、食道潰瘍、食道がん
  2. 胃:胃潰瘍、胃がん、出血性胃炎
  3. 十二指腸:潰瘍
  4. 小腸:潰瘍、クローン病、肉腫
  5. 大腸:大腸がん、ポリープ、潰瘍性大腸炎、クローン病、肉腫
  6. 肛門:痔核、痔瘻
この中でも、特に大腸がん、大腸ポリープ、潰瘍性大腸炎など大腸の病気が多くみられます。
  • 食道から十二指腸くらいまでの出血では、便は黒くなります(タール便)。赤色の血便は下部の出血を示しています。
  • 便の潜血反応が陽性となるためには、ある程度の出血が必要です。
  • かっては、化学反応による検査が用いられていましたが、肉や魚、野菜などの制限が必要で、反応も感度が低かったのですが、最近ではヒトのヘモグロビンにのみ反応する免疫化学的方法が用いられるようになり、採便も簡単になりました。
  • しかし免疫法でも早期の大腸がんで50%、進行がんでも1回の検査では、陰性のこともあります。通常2回法(2日間の便を調べる)が用いられています。


2.異常-----疑われる病気や異常

  • 基礎知識の項参照。


3.どうすればよいか-----日常生活上の注意

  • 精密検査を受け、医師の指導に従いましょう。





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